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  • 菊池 邦夫

米国金融クライシスから学ぶコロナ後の不動産投資を考える

今後の米国不動産を考える際に、米国での金融クライシス(リーマンショック)の後どんな回復の奇跡があったのかについて振り返ることは、コロナ後の世界を洞察するのにも必ず役立つと信じている。一方で、金融クライシスの性格は今回のコロナ禍とは全く異なるものである。リーマンショックは金融市場でのバブルが発生してそれが崩壊することによって起こった。結果として金融機関の破綻や危機が続き、過剰債務を抱えていた個人の需要が減退し、さらに失業率が悪化して賃金と消費の回復に驚くほどの時間がかかった。

今回のコロナ禍での状況は大きく違う。第一に金融クライシスは今のところ起こっていないことである。前回の学びから金融機関のリスク管理は行き届いている。おまけに300兆円を超える巨額の財政出動を迅速に決定した。金融インフラに寸分のリスクを持たせないために。金融クライシスの時にみられた銀行による貸し剥がしのようなことも統制されている。別の面では、現在は市場最低金利である。さらには歴史的な住宅在庫不足が続いている。確かにポジティブな条件はいろいろとあるのだが、コロナによるロックダウンがなされ、ほとんどの国民の不要な外出が禁じられたことでの経済へのダメージは計り知れない。その結果が14.7%の高い失業率へと繋がっているわけで、この数値は全米レベルでは戦後最悪の状況だ。

 さて、ちょうど100年前にスペイン風邪により今回と同じような経済への大打撃を経験した歴史がある。情報によればその影響は第3波まであったらしい。第1波はごく一部の地域の話であり約6ヶ月続き、その後ヨーロッパ広範に広がり6ヶ月過ぎて収束した。しかし、その時に収束したと誰もが思っていた矢先に第3波が起きこの時に医療崩壊したそうである。100年後の今回のコロナ禍も酷似している。第1波は武漢であり、第2波は現在だ。このまま第3波が来なければベストであるが、第3波があるとすれば現在の株式市場の戻りも次の底値を見ることになってしまうかも知れない。

 さて、話は戻るが、金融クライシスの際は株は約4ヶ月で底を打った。そして、それに続いて投資家やプロの不動産業者向けの商業不動産市場は約9ヶ月で底を打った。しかし、住宅市場は、長い失業期間、賃金の停滞、消費の停滞が続き、その元にもなる金融の貸し剥がし、新規貸し出しの停滞が長く続き、多くのフォークロジャー(物件差し押さえ)などが続き、価格は低迷したままであった。実質3年3ヶ月かかっている。




 今回のコロナ禍の影響について住宅については意見が2分していることを前回お話しした。商業不動産はどうであろうか?ずばり4月は全米商業不動産の分析理論価格は平均で前月比9%のマイナスになった。(以下の「4月全米商業不動産の価格推移分析について」参照)商業不動産価格推移は景気動向と大きく連動するため、米国のGDPや各地の投資CAPレート、賃料動向によるキャッシュフロー予測などの動きを注視する必要がある。弊社としては米国経済の早期回復を信じており、商業不動産価格は早晩落ち着き、堅調に推移すると考える。しかし、地域ごとに特有な需要動態を注視する必要があると考える。(例えば、郊外化の流れが起こるなど。)また、前段で述べた通り、商業不動産市場は金融市場動向にかなり影響を受けるため、コロナ禍の第3波があるようであれば価格の下落も続くものと懸念される。




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