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執筆者の写真菊池 邦夫

コロナウイルスの米国不動産へ与える影響について 5/9/2020時点

 ご存知の通り昨日5/8米国ではコロナ後の失業率が発表された。以下は5/9日経新聞に掲載されていた米国失業率に関する記事からの抜粋である。これによると、米国失業率は戦後最悪とのことである。しかし、昨日の米国株にはこの影響はなく、むしろ株価が$450超も上昇した。高い失業率はすでに株価には折り込み済みだったようである。




次の表はカリフォルニア州の失業率と住宅価格の上昇率の推移である。


失業率が高くなると住宅価格が下落する関係が読み取れる。このことから考えると、今回14.7%の全米失業率は確実に住宅価格に影響を与えるだろうとの懸念がでてくる。

 しかし、米国の不動産業者と話すと、彼らの多くにここまでの危機感はない。その理由には大きく2つある。1つ目は今回米国政府が即断実施した財政出動だ。総額300兆円を超える財政出動額は米国が失うであろうGDP予測を十分に賄う金額と予測されている。2つ目の理由は史上最低の住宅金利である。3%台の金利は早晩2%台になるだろうと言われている。米国の住宅ローン金利下落は、住宅所有コスト負担減に大きく寄与しているため、住宅不足を背景に潜在的な住宅需要にポジティブに働く。

さて、4/29発表の全米不動産協会による「不動産業者の住宅価格信頼感指数」調査によれば、今後1年間で住宅価格がどの位変動するかについて不動産業者はまだ比較的ポジティブな見方をしているのが解る。2月から3月への時間経過に伴って当然価格下落を懸念する割合は増えているが、それでも大きな懸念となっては現れていない。



私はどう考えても住宅価格へのマイナスの影響は出てくるとは予想している。しかし、Q3までの失業率や景気動向をさらに注視してみてゆく必要があろう。次回は商業不動産の状況についてお話ししたい。

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